|Exhibitions

白隠禅師 Hakuin Ekaku(1685〜1768)

臨済宗中興の祖。「駿河には過ぎたるものが二つあり 富士のお山に原の白隠」と 富士山と並び賞される禅僧・白隠は、迷いの心と、それに基づくあらゆる行為の結果、限られた世界に閉ざされ苦しまざるを得ない人間の実情を超克し、本当の人間に蘇るために、自ら猛烈な修行をおこない悟って悟りぬいたのち、今度は、弟子はもとより広く民衆にいたるまで、覚り得た何とも言えない世界に生き得る道を教え諭すために膨大な書画を残しました。その題材は、きわめて専門的で難解なものから、民衆の日常生活にあり触れたほほえましいものまで実に多様、しかも現代の漫画にも勝るとも劣らぬ画風はまたとない傑作ばかりです。白隠宗大本山・松蔭寺と細川家が所有する世界随一のコレクションから厳選された今回の展示。どうぞ、悟りの深みからほとばしり出た白隠禅師の書画を通して、見えない広大な世界があることをご体感ください。(堀内伸二)

黒田典子 Noriko Kuroda
ヤジマチサト士 Satoshi Yajimachi

〈黒田典子略歴とΨとの出会い〉
1970年代、学生運動が下火になり、学生の大半は、従来の社会生活へ、ノンセクトラジカルの一部はドロップアウト、過激なセクト主義者は獄中あるいは地下へ 、四散していった。
私は、2年の法律科から4年制に編入するのをやめて、裏の美学校へ、新しい考え方を探して、赤瀬川原平、松沢宥の生徒になった。同時に若松プロでの映画体験、ヒッピー元祖の山尾三省との出会い、そしてインドへ、既成概念からの逸脱の旅が始まった。
1979年、インド・ブッダガヤ。 亡命チベッタンの老夫婦が営むアマラテントで、物理学を専攻しながら陶芸家になったS氏に出会った。
彼は、理数に疎い私に、物理学は根本から変わった、この世界は、原子のようなミクロな物質から始まったのではなく、不可視の「意識」のようなものによって現出したと考えられている、と教えてくれた。
暑さで真っ白になっていた頭に、物理への関心が一瞬芽生えた。しかしそれは長くは続かなかった。
1995年、訪れたギャラリーの本棚に、「量子芸術宣言」と題された本が目に止まった。
著者の松澤宥は、美学校時代の先生だった。
当時は理解できなかった「最終美術思考」。
あれからΨ(松澤の別称)は「量子芸術宣言」へパラダイムシフトしていた。
本「量子芸術宣言」は科学的思考と精神的思考が混在し、多面的な視座を形成していた。この捉え所のなさは、量子もつれなのだろうか。
Ψは、新世紀のイデオローグなのだろうか?
70年代に出会いながら、不可解なままスルーしてしまったΨを、再認識することで、新たな地平が開けてくるかもしれない。しかし「トンネル効果」を感得するのは、100年後のひ孫の時代だろうか?
人間が量子で成り立っていることを、みんなが自覚した時、世界の様相も大きく変わるのではないだろうか。
映像作品「ΨのΩ孫への伝言」制作は、このような思いから始まった。
今回の上映は、最初の章「Ψの部屋」である。

主なスタッフ
ヤジマチサト士、吉本直紀 中嶋興 黒田典子
協力 松澤春雄 松澤久美子 Ima kuroda アレクサンドル・タルバ 黒田康夫

篠原誠司 Seiji Shinohara

1965年、栃木県に生まれる。1988年、多摩美術大学芸術学科卒業。在学中は菅木志雄氏、吉増剛造氏、宇佐美圭司、東野芳明氏等に師事し、絵画制作のほか、日本の戦後美術史などを研究する。卒業後の1989年、京都・ギャラリーTAKAで絵画作品により初個展。1990年、アートギャラリーK2で東京初個展。それ以後は写真作品制作に転じて、写真家として活動。ギャラリーを中心に各地で展覧会を開催し、現在にいたる。近年の主な展覧会としては、グループ展「エコ&アート 近くから遠くへ −アートを通して地球環境を考える−」(群馬県立館林美術館、2009年)、個展「漆 −地の記憶」(福島県立博物館、2012年/福島県大沼郡・三島町交流センター山びこ、2013年)ほか。

石川雷太 Raita Ishikawa

現代美術家。ノイズ・パフォーマン・スユニット「Erehwon」主宰。「混沌の首」共同主宰、アートコア代表。鉄、ガラス、言葉、ニュース画像、ノイズ音など、多様な組み合わせにより、物質と人、自然や戦争の問題まで、様々な角度から世界を映し出す。森美術館、国立新美術館、BIWAKO ビエンナーレ、日仏学院、越後妻有・大地の芸術祭、東京大学駒場寮、彦根城、京都市京セラ美術館など国内外で展示多数。ウィーン、バリ島、ブタペスト、上海、ジャカルタなど国内外で演奏多数。舞踏家 小林嵯峨の舞台にてライブ演奏を行う。向井千恵らと共に即興の祭典「透視的情動」を主催。舞台美術、音響、イベント企画なども行う。

羅入 Laju

京都墨彩画壇評議員、「混沌の首」共同主宰。真言密教を土生川正道前官、銅版画を蒲地清爾、水墨画を藤原祐寛に師事。アートも宗教も同じく根源へ還る術と考え行為する。近年、行の痕跡を物体へ印す作品を作り始める。本展では22日夜明けにその行為をパフォーマンスとして行い作品を屋外で展示、同作品を築地本願寺で行われるMONK ART GUDOにも展示する。京都市京セラ美術館、京都文化博物館、書の博物館・観峰館、京都造形芸術大学、高野山ギャラリー、京都府立植物園、台南アートセンター、水上勉文学館・若州一滴文庫など国内外で展示多数。2021年京都墨彩画壇展 京都市会議長賞受賞。

アレクサンドル・タルバ Alexandre Taalba

カビール系のフランス人・アルジェリア人の研究者・キュレーター。パリ第8大学にて博士号(美学)を取得、2024年から2025年まで客員研究員として東京大学総合文化研究科超域文化専攻表象文化論研究室に在籍。博士論文のタイトルは「虚の記憶のイメージ : 日本における原子力時代の技術批判の美学について」。資本世への問いかけを通して、戦後美術・現代アートにおける原爆の表象と経済・技術的合理性の批判、及び被爆者の記憶と反核ラディカリズムの関係性について考察している。ジル・ドゥルーズ、ギュンター・アンダース、シモーヌ・ヴェイユなどに影響を受け、バーチャルという概念、無政府主義の哲学、革命運動の歴史についても研究対象としている。ゲバルト団体の代表。 https://gewaltdantai.com/ja/

|Performances

岩田恵 Megumi Iwata

生田流箏曲宮城派 箏曲演奏家。宮城会、群馬三曲協会、正会員、温故和楽会理事、前橋市文化協会邦楽部会理事。知音会・岩田社中社主。アトリエサード取締役編集者。前橋で生まれ育ち、東京、福岡を経て、前橋に戻る。母校、前女の恩師である山口直永の影響で舞踏と現代音楽に親しみ、伝統と現代の地平を探して古典から宮城曲、現代音楽、即興と幅広いレパートリーで場面に応じた演奏を行う。2023年10月イスタンブールにて開催された第十回メディエーションビエンナーレ、にて、ポーランドのロズベルグ劇場と日本の舞踏家チームの共同企画に箏曲演奏と振付補助で参加。

Rie Fukuda

2005年1月より朗読家としての活動を開始。2009年2月に自主企画"騒音天獄"をスタート。その間、様々な演奏家との共演を経て、朗読のSEをシンセサイザーで演奏するスタイルが定着する。同時に即興セッションにも多数参加。2018年、田畑満とのデュオ作品"precog"をオースチンレコードより、2024年6月、The Death of Dada: A Geisha Sun Cookies Compilationに参加しリリース。合間にハウスDJとしても活動し地下で楽しく過ごしている。

混沌の首 Neck of Chaos

2008年発足。美術家であり高野山真言宗僧侶でもある羅入、美術家でありノイズユニットErehwonを主宰する石川雷太、ダンサー神林和雄、北野美月ら複数の瞑想者からなる密教系芸術団体。インダストリアルなノイズ音楽や鐘や太鼓を打ち鳴らしながら激しく踊る様は、現代の踊り念仏と評される。山の中、縄文遺跡、神社仏閣、ライブハウス、美術館、大学などでジャンルを横断し活動中。2024年に井戸尻考古館の建館50年記念事業として井戸尻遺跡で野外パフォーマンスを、2025年に土方巽・中西夏之メモリアル猿橋倉庫にて21時間瞑想ライブを世界同時配信にて行った。
23日の出演者/羅入、石川雷太、神林和雄、北野美月、とも

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|Lecture

堀内伸二 Shinji Horiuchi

1958年長野県諏訪市生まれ。東京大学大学院印度哲学博士課程終了後、東洋思想、比較思想の世界的権威・中村元博士のもとで研鑽、中村元著『広説佛教語大辞典』全4巻、同『大乗仏典翻訳』シリーズ全7巻などの編纂を行なう。筑波大学等で仏教、哲学、東洋思想などを講じ、日本印度学仏教学会理事、(公財)中村元東方研究所理事などを歴任。現在、日印文化交流ネットワーク事務局長など。著書に『般若心経手帳』『白隠禅師生誕320年 白隠・禅と書画』など多数、『仏教の事典』は第68回毎日出版文化賞を受賞。本企画では、白隠禅師の展示を担当、24日には「白隠禅師の書画が語る世界」を講ずる。